「ちはやふる」をもっと楽しむ 登場順に和歌解説【朝ぼらけ】

漫画「ちはやふる」をもっと深く楽しみたい方へ!

登場順に和歌を解説するシリーズ、五首目は「朝ぼらけ」です。

この歌は叙景歌です。

叙景歌とは自然をありのまま詠んだ歌のことです。そこに主観はありません。

歌で写真をとったようなイメージですね。

また宇治川は当時リゾート地として有名で、貴族がこぞって別荘を建てていたそうです。

そんな宇治川では、源氏物語で三角関係に悩んだ末ある女性が投身自殺をしたというエピソードがあります。

そのことから、男女の深い機微(表面だけでは知ることのできない事情)が流れる川と言えます。

「ちはやふる」では真逆でこの歌から3人の絆が深まり始めましたよね。

その対比としてみてもおもしろいかもしれません。

それでは解説にはいります。

1.ちはやふるでの登場

登場:1巻

千早、新と一緒にヒョロくん達を相手に源平戦をしていた時に詠まれた札

新が1人で全部とってしまいそうで、千早と太一が燃えている時にこの歌が読まれた。

2.歌の意味

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木

あさぼらけ うぢのかわぎり たえだえに あらはれわたる よよのあじろぎ

意味:夜がほのぼの開けてくる冬の朝、宇治川にたちこめていた川霧がとぎれとぎれに生えれてきて、だんだんと現れる網代木よ

作者:権中納言定頼

3.動画で撮ったような朝の神秘

叙景歌なので、本当に読んだままですね。

1つあるとすれば、宇治の川でこの歌を詠んだということです。

冒頭でも触れましたが、宇治川とは男女の機微が流れる川、作者の権中納言定頼も何か思うところがあって、詠んだのかも知れませんね。

ちなみに網代木とは、平安時代に鮎の稚魚をとるために竹や木で編んだしかけのことです。

網代木は宇治川の冬の風物詩として有名で、網代木の絵がかいてあればそこは宇治だと言われるほどでした。

私も冬に宇治に行って同じ情景を見てみたいものです。

4.ちはやふるでの解釈

私の中では1巻で最も熱いシーンの1つに必ず入ります。

太一が主人公として解釈すると、とても心が動きました。

太一が自分の札だと思って一生懸命とった後、読み札が間違いでないことを確認しました。

集中していたがために自分の担当札以外には霧がかかっていましたが、ふと新の方を見ると、徐々にはっきりと新が囲み手をしているのに気づきました。

そこで原田先生も言っていましたが、太一を信用した新の姿をみた太一はどんな気持ちだったでしょうか。

いつもは真島と呼んでいた新が「ナイス、太一」といった時の太一の心情は言葉にできません。

ここから2人の信頼関係はお互いに始まったと思います。

小学生ながらに感動するシーンですよね。

5.最後に

叙景歌だったために、あまり深堀りすることができませんでした。

それでもその情景を「ちはやふる」に重ねて解釈すると、その時の太一の気持ちになれる気がしました。

自分が一生懸命取った札、ふと見上げるとそれを見守ってくれている仲間。

言葉は不要ですよね。

次回は千早の番!「ふくからに」です。

お楽しみに!