「ちはやふる」をもっと楽しむ 登場順に和歌解説【吹くからに】

漫画「ちはやふる」をもっと深く楽しみたい方へ!

登場順に和歌を解説するシリーズ 六首目は「吹くからに」です。

この歌は謎掛けがあり、面白さを感じられる歌です。

ですが、ただ面白いだけの軽い歌ではなく、秋に吹き荒れる激しい風や荒涼とした雰囲気も感じさせます。

荒涼とは荒れ果てて物寂しい様子です。

秋の山から冬にかけて木の葉が散っていく様子は物寂しい感じがありますよね。

「ちはやふる」では何が散っていくのか。嵐は一体誰なのか。

それでは解説していきます。

1.ちはやふるでの登場

登場:1巻

千早、新、太一がヒョロくん達と源平戦をしていた時に詠まれた札です。

「朝ぼらけ」を隣で新と太一が取り、隠れた友情が芽生えているシーンの後、

千早が自分の世界に集中していて一字決まりの「ふ」が聞こえる前に取りましたね。

千早の感じの良さが際立ったシーンでもあります。

新はそんな千早を見て燃え始めましたねw

2.歌の意味

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしというらむ

読み:ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん

意味;吹き下ろすとすぐに秋の草木がしおれてしまう。なるほどそれで山からの風を嵐というのですね。

作者:文屋康秀

3.山風と嵐の言葉遊びだけじゃない。

歌の解説にはいります。

私はこの歌は嵐の言葉遊び荒涼の雰囲気を感じられるように工夫がされていると思います。

嵐の言葉遊び

むべ山風を あらしというらむ

ここに多くが詰め込まれています。

山と風という感じを合わせると嵐になりますね。

それで山風を嵐というのだな。と読んでいます。

またこの嵐ですが、秋の草木の しをるれば の部分でわかるように草木を荒らしているんですね。

この嵐と荒らしがかかった掛詞にもなっているんです。

荒涼な雰囲気を感じられる余韻

秋の草木が風に荒らされて、葉っぱが飛ばされてしまった。そんな寂しい情景が浮かびますよね。

「あらしと言うらむ」

の「らむ」が、~だろうと訳せます。

「らむ」と言葉にしたときの余韻、また意味も嵐というのだろう・・・。

といった感じで一呼吸その情景を再度見ると荒涼な雰囲気な山が感じられませんか?

意味だけでなく、語感がものすごく哀愁を感じさせる作りになっていて心を掴まされる一首です。

4.ちはやふるでの解釈

「ちはやふる」で詠まれたシーンを思い出しましょう。

新と太一に目には見えない友情のようなものが芽生えているのを全く気にせず、千早は自分の世界に入っています。

そんな中詠まれた、一字決まりの「吹くからに」

誰よりも早く取りました、まるで嵐のように。

その後、負けじと新が燃えて残りの札を全てかっさらっていくというシーンでしたよね。

吹くからには歌が読まれるとすぐにとった千早の行動を表しているようです。

周りをよそ目に嵐のように千早がこの一首を持っていきます。

その後燃えた新が、荒らすように残りの札を全部取るという、すべてを表しているような歌ですね。

新が残り全部とる嵐・荒らしっぷりまで完璧に重ねられる光景です。

ちなみに最後にヒョロくんがしおれていたのも印象的ですよねw

5.最後に

「吹くからに」味わっていただけたでしょうか。

ただの秋の山風から嵐につなげる頭の回転の速さ、とてもおもしろいですよね。

しかも面白いだけでなく、語感からも秋から冬にかけての山の寂しさを感じられるように工夫が凝らされています。

作者の文屋康秀は身分の低い官人でしたが、実力で六歌仙に入ったのも納得がいきますね。

次回は1巻最大の山場をきれいに描いていている「白露に」です。

「ちはやふる」と合わせて読むと涙なしには詠めない一首となっています。

それでは!