「ちはやふる」をもっと楽しむ 登場順に和歌解説【なにはづに】

漫画「ちはやふる」をもっと深く楽しみたい方へ!

登場順に和歌を解説するシリーズ2巻の一首目は「なにはづに」です。

え!それ百人一首じゃないじゃん!

そうです。これは競技かるたのはじめに詠まれる序歌ですね。

本来の百人一首には含まれていない歌ですが、
「ちはやふるをもっと深く楽しむ!」これが一番のコンセプトですので、解説することにしました。

しかも「ちはやふる」でのシーンとすごくよくあっているんですよ。

 

この歌は天皇の即位の讃歌として詠まれ、幽玄という日本文化を味わう1つの心的要素を含んだ最も基本的な和歌です。
讃歌だの、幽玄だのよくわかりませんよね?安心してください。後半できちんと説明します。
またこの歌には人間の寿命が短くなった、おもしろい裏エピソードもあるんです。
ちはやふるでのワンシーンは春、冬、花が何かわかるとこの歌の幽玄がわかると思います。
いつもよりもちょっと小難しい解説が入ります。
つまんないなーと思った方はすぐに、ちはやふるでのワンシーンまで飛ばしてください。

それでは早速解説していきます。

1.歌の意味

全文:なにはづに 咲くやこの花 冬ごもり いまをはるべと 咲くやこの花

読み:なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな

意味:難波津に花が咲き冬は去った。今は春になったから花が咲いている。

2.歌が詠まれた背景

仁徳天皇が天皇即位した祝いとして王仁が送った讃歌

この歌が詠まれたのは、仁徳天皇が天皇即位した祝いとして、渡来人の王仁が送った歌です。

難波津で仁徳天皇が即位し、過去の政治は終わった。仁徳天皇が即位したから新しい時代が始まった。

仁徳天皇の即位をこれから希望に満ち溢れた春と表現し、さらにそれを繰り返すことでより祝う気持ちを表しているような歌ですね。

幽玄の要素を含む重要な和歌として広まる

この歌は幽玄の要素を含む基本的な和歌であるとして広まりました。

この幽玄はあはれ、わびさびといったような言葉と同ジャンルで和歌などを味わうときに感じる要素として広く広まりました。

幽玄とは

文芸、絵画、芸能、建築などの芸術における日本文化の基層となる理念の1つ

趣が奥深くはかりしれないこと
趣が深く高尚で優美なこと
気品があり優雅なこと
上品で優しいこと
言葉に現れない深くほのかな余情の美
こんな感じの感情のことです。

幽玄の他の表現

イメージしやすいように幽玄と似たようなジャンルの例を出します。

あはれ:触れる見る聞くことで触発されて生じるしみじみとして情緒や哀愁

わび:不十分なあり方に見いだされた美、不足の美

さび:内部的本質が外部へ滲み出てくること。静かな中に奥深いものが自ずと感じられる美しさ

ほそみ:作者の心が対象にかすかに深く入り込んで捉える美、繊細に表現される句境

といったような言葉があります。

3.人間の寿命を決めた裏エピソード

実はこの歌に面白いエピソードがあります。

人間の寿命はコノハナサクヤヒメの父親を怒らせてしまったからというなんとも理不尽なおもしろい神話です。

コノハナサクヤヒメ姉妹の父はモンスターペアレント?

私は知りませんでしたが、コノハナサクヤヒメという美しい神様がいるそうです。

咲くやこの花にとても似ていますよね。

このコノハナサクヤヒメにはイワナガヒメというお姉さんがいました。

父のオオヤマツミはこの2人をアマテラスオオミカミの孫のニニギノミコトに嫁がせようとします。

するとニニギノミコトは

コノハナサクヤヒメは可愛いからいいよ。

でもイワナガヒメは可愛くないから結婚しない!

と言ってしまったのです。

イワナガヒメと結婚すれば、岩のような永遠な命が手に入り、

コノハナサクヤヒメと結婚すれば、樹や花のように子孫は反映する

そう思っていたのにブスだから結婚しない!?

これに激怒した父オオヤマツミはニニギノミコトの寿命は花のように短くしてやる!

こんなことをしてしまい、これ以降の天皇の子孫は神のように長生きではなくなった

という裏エピソードがあります。

4.ちはやふるでのワンシーン

登場:2巻

卒業式が終わり、引っ越しの準備をしている新の家に千早と太一が押しかける。

最後にかるたで勝負しようと千早がもちかけ、新と勝負することになった。

そんなとき太一が序歌を詠んだ。

卒業、新しい生活、未来の再会への希望の歌

歌に当てはめて解釈してみますね。

咲くやこの花、冬ごもり

千早が咲いた花、冬はみんなが離れ離れになり、もう一緒にかるたをすることはないと考えていた太一と新

いまをはるべと 咲くやこの花

春は2つの解釈があります。

続けていたらまた会えるという期待や希望

また絵では新生活が始める期待の膨らむ季節としても描かれているように思いました。

ここでの花は外の桜を示していると思います。

まとめると

みんなが離れ離れになり、一緒にもうかるたをすることは無いと思ったいた思い(冬)千早(花)が勇気づけてくれました。

その結果冬は吹き飛び、続けていたらまた会えるという期待、希望新生活が始まる期待の膨らむ季節である春がやってきました。

そんな春を外の桜(花)をみれば感じられる。

こういった解釈になりました。

とても綺麗ですよね。

千早が春を誘い込んで、みんなの落ち込んでいた気持ちを新しい気持ちへと変化させる。

それを桜という春を象徴する花でより強く感じさせる。

とても良いシーンに良い歌をあわせていますよね!

5.まとめ

いかがだったでしょうか。味わっていただけましたか。

競技かるたの序歌として詠まれる「なにわづに」

競技かるたの始まりだけでなく、これからの千早、太一、新の3人のストーリーが始まる序歌として詠めましたね。

私が読んだ時、まだ小学生3人のこれから始まる活に期待が湧き上がりました。

それでは次回は「たれをかも」です。

お楽しみに!